ナノカムのテクノロジー

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抗菌技術は新しいステージへ

世界中に感染が拡がる細菌。抗生物質に対しても耐性を持つようになり、公衆衛生上、緊急の課題対応が迫られています。我々は細菌の構造・増殖過程に着目し、全く新しい殺菌作用機序を創出しました。

本技術はこれまで長年の基礎研究に加えて、
文部科学省 大学発新産業創出拠点プロジェクト(平成24年ー平成25年度)
経済産業省 戦略的基盤技術高度化支援事業 (平成24年ー平成26年度) の支援を受けて、
「地球環境にやさしい感染防除技術から、安心安全な食料生産、クリーン生活と生物 共存社会」を皆様と造りあげたく、 世のためヒトのために努力をしております。

ナノカムのテクノロジーは、新しい抗菌機序を有する
オリジナルテクノロジー

新規抗菌性ナノ粒子

全く新しい抗菌手法として、我々は抗菌アクリル系ナノポリマーを創造しました。
新規抗菌性ナノ粒子

ナノカムの新しい技術

我々が着目したのは細菌の細胞壁と、増殖プロセス。ほとんどの細菌は細胞壁を持っています。人体の骨のように形を維持する重要な役目として内圧(8~20気圧)を抑えることで細菌の構造を保っています。細菌はこの細胞壁の成長・複製も含めて増殖を繰り返します。

ナノカムが生み出した「抗菌ナノ粒子」は細胞壁に吸着することで、その効果を発揮します。

「抗菌ナノ粒子」は細胞壁の糖鎖ペプチド表層と親和性が高く、「抗菌ナノ粒子」が吸着した局所部分に対して、細胞壁の合成を阻害します。

ナノカムが生み出した「抗菌ナノ粒子」は細胞壁に吸着することで、その効果を発揮します。

吸着していない面は細胞壁の成長が行われますが、吸着面(接合局所)とのアンバランスな成長により、内圧を保つことができず、自己融解を起こします。

ナノ粒子が吸着することによる自己融解

ナノポリマー粒子による黄色ブドウ球菌(中央)の自己融解誘導作用(動画)

新しい抗菌技術
逆転の発想:菌と親しい「ものづくり」から生まれた
世界初の技術;ナノ粒子は細胞壁に接合するだけで、

菌の自己融解を誘導

ナノ粒子が吸着することによる自己融解

生分解性抗菌ナノ粒子 電顕画像

黄色ブドウ球菌の破裂(動画)

出典:
前 横浜市立大学大学院客員教授 城武 昇一

安全性の実証

本抗菌ナノポリマーは生分解性で蓄積せずに安全性が高く、自然環境を壊しません。新しい抗菌技術には、高い安全性と共に抗菌持続性の相反課題の解決が求められています。

本抗菌ナノポリマーは、側鎖構造体が直鎖のn-ブチル基であり、代謝系にてホルムアルデヒドを生じません。その安全性は外科用接着剤(医薬品)として30有余年の使用実績によって生分解性と安全性は充分に実証されています。本ナノポリマー粒子の安全性については第三者試験をも実施し、科学的な実証が得られました。(文科省新産業創出プロジェクト(H24-25年度、経産省戦略的基盤技術高度化支援事業(H24-26年度)。

1.ヒト・動物への安全性

安全性の評価に、in vitroとin vivoの両試験があります。In vitro試験の催奇形性試験は発がん性と密接に関連し、大腸菌法とサルモネラ菌を用いた試験法であり、本抗菌ナノ粒子は両試験いずれも陰性です。

細胞毒性試験では、人体適用の医薬部外品消毒薬として用いられている「塩化ベンザルコニウム」液と抗菌ナノ粒子・コロイドと比較しました(図1)。ベンザルコニウム塩化物液はほ乳類培養細胞(V79)に対し細胞毒性作用を示したが、一方、ナノコロイドでは阻害効果を認めませんでした。

ほ乳類培養細胞(V79)を用いた細胞毒性試験

in vivo安全性試験を各種実施し(表1)、吸入毒性を含め全試験において陰性でした。

  • 毒性試験(単回投与急性毒性);
    経口、腹腔、尾静脈内投与:マウス;LD50>400mg/kg(最大投与量で死亡が無い)。
    経皮:ラット;LD50>400mg/kg(最大投与量で死亡が無い)。
    吸入(気道投与):ラット;LD50>40mg/kg(最大投与量で死亡が無い)。
  • 皮膚腐食性及び皮膚刺激性;
    ヒト:手・指への噴霧で手指への影響はなかった(10例)。
    犬:繰り返しシャンプー洗浄しても異常なし(炎症性メディエーターの発現なし)。
    ヒト・及びマウス:24時間パッチテスト(ヒトボランティア11例、男性3例(アルコール過敏症1例)女性8例(アレルギー体質2例):影響無し)。
  • 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性;
    ウサギ眼刺激試験:陰性(無刺激物)
  • 呼吸器感作性;
    ラット;単回気道投与において特異的な呼吸器過敏症は認められない。
  • 皮膚感作性;
    モルモット(ATP法);陰性。
  • 発熱性試験;
    JP一般試験法;ウサギ;陰性。
  • 生殖細胞変異原性;
    Amse試験;陰性、
    大腸菌テスト;陰性、
    サルモネラ菌テスト;陰性。
  • 癌原性試験;
    コメット試験(ヒトリンパ芽球);陰性。

表1;安全性試験 in vivo

2.植物への安全性

抗菌ナノポリマーによる農作物・種子の発芽、根の成長、収穫に対する影響を調べました。チンゲンサイ、ナス、トマト、メロン、キュウリ、いずれの作物についても、発芽に対する悪影響は認められませんでした。特に、根毛の状態においても根の奇形等も観察されませんでした。苗の成長から収穫まで、悪影響は全くなく、収穫時期と収穫量については抗菌ナノ散布群の方が有意に高い結果が得られました(文科省新産業創出プロジェクト(H24-25年度)。

3.土壌中における生分解性評価

本抗菌ナノポリマー(シアノアクリレートポリマー)は、生分解性であり蓄積せず、自然環境を壊しません。

無消毒の農作物栽培畑土壌に対し、抗菌ナノ粒子コロイド水溶液を8週間で計8回灌水散布。抗菌ナノポリマーの最終散布から1週間後までは抗菌効果が観られましたが、最終散布より2ヵ月後には、細菌叢が復帰しました(図2)。抗菌ナノポリマーは、生態ばかりでなく自然界への負荷が極めて小さいです。

抗菌ナノ粒子散布後の土壌菌数の変化

新規技術の特徴

細菌に対してアポトーシス様作用を惹起するこの「ナノ粒子」開発は世界初の技術で、国内特許13件、PCT出願5件をしています。

これまでの抗菌技術では、抗生物質多用による耐性菌の出現、つまり、感染症治療のジレンマ・耐性スパイラル現象が起こっていました。無機系抗菌技術では、レアメタル使用することから、安定供給への不安や、生体・環境への影響を考慮する必要がありましたが、本技術は菌の自己融解を誘導し、下記の特徴を持ち合わせます。
  • 耐性菌を生み出さず、作用は持続性です。
  • レアメタルは不要、安定供給を保証します。
  • 生体への安全性に秀で、生分解性で動物植物昆虫など生態系を傷つけません。

実験例

1.MIC表

病原菌 MIC結果(μg/ml)
ナノ粒子D・Gly ナノ粒子D・Arg ナノ粒子D・Asp ナノ粒子D・Ala 抗生物質ABPC 消毒用アルコール
黄色ブドウ球菌 50 50 50 50 0.25> 15000
黄色ブドウ球菌 50 50 50 50 2 60000
多剤耐性・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 100 100 50 50 >128 60000
多剤耐性・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 50 50 50 50 >128 60000
腸球菌 50 50 25 50 0.5 240000
多剤耐性バンコマイシン耐性腸球菌 25 50 25 25 2 60000
多剤耐性バンコマイシン耐性腸球菌 25 50 25 25 1 120000
ストレプトコッカス
(旧ミレリ・グループ)
25 50 25 25 0.25> 60000
肺炎球菌 12.5 12.5 12.5 12.5 0.25> 30000
化膿レンサ球菌 12.5 12.5 12.5 12.5 0.25> 15000
ペプトストレプトコッカス 6.3 12.5 6.3 6.3 0.25> 15000
ジフテリア菌 25 25 12.5 12.5 0.25> 15000
プロピオニバクテリウム・アクネス 12.5 12.5 12.5 12.5 0.25> 60000

2.抗菌ナノ粒子の多剤耐性VRE溶菌誘導(SEM ×15,000)

2.抗菌ナノ粒子の多剤耐性VRE溶菌誘導(SEM ×15,000)

3.抗菌ナノポリマー粒子のVSE溶菌誘導(SEM ×15,000)

3.抗菌ナノポリマー粒子のVSE溶菌誘導(SEM ×15,000)

4. 一般生活抗菌持続効果の検証(第3者機関検証)

掌における抗菌効果(6名の平均菌コロニー数)

(右掌の菌数/25平方cm)

処理前 スプレー直後 スプレー後30分 1時間後 3時間後 6時間後
消毒用
アルコール
菌数
62
菌数
0
菌数
53
菌数
67
菌数
62
菌数
62
ナノ粒子
0.1%
73 5 0 1 5 25
ナノ粒子
0.01%
88 2 0 7 6 23
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